ジェンダーと聞くとどんなイメージがありますか?
- 自分には関係のない話
- 声高に叫んでいる人やSNSで展開されるバトルが怖い
- よくないとは思いつつ、考えるのが面倒……
といった、ネガティブなイメージを持つ方も多いかもしれませんね。
ですが、ほんの少し意識を変えるだけでも、十分ジェンダーの理解を深められます。
今回はできるだけわかりやすく、簡単に、私が普段気を付けているジェンダー表現についてお話しします。
webライターとして文章を書くとき、そして普段人と話すとき、少しでも思い出していただけると幸いです。
全員が無関係ではない「ジェンダー」とは
そもそもジェンダーとは「社会的に構築された性別」を指す言葉です。
身体的な性別ではなく、社会が決めた「男性は外に出て働くもの」「女性は家を守るもの」「男らしく」「女らしく」のような考え方のことです。
本当はもっとたくさんのジェンダー的な押し付けが世の中には溢れかえっているのですが、ここでは少し省略します。
日本の2021年のジェンダー・ギャップ指数は156カ国中120位で、これは先進国では最低レベルです。
(出典:男女共同参画局 世界経済フォーラム「ジェンダー・ギャップ指数2021」)
この数字を見るとただ「女性差別がひどい国」というイメージを持たれるかもしれませんが、男性へのジェンダーの押し付けもなくならない限り、男女の格差はなくなりません。
女性だけ、男性だけを特別視するのではなく、社会を構築する全員が生きやすい考え方を浸透させることこそが男女平等につながると私は考えています。
先が遠すぎるようにも感じますが、文章を売るライターだからこそできることもあります。
私が文章を書く上で意識しているジェンダー表現について、もう少し詳しくご紹介しますね。
ジェンダー表現で意識したい5つのポイント
ジェンダー表現で意識したい5つのポイントを紹介します。
どれも言われてみれば当たり前のようなことばかりですが、知らず知らずのうちに使っている言葉もあるかもしれません。
表現を変えてみることはできないか、少しだけ考える余裕を持つことも大切です。
偏見や差別につながる表現はしない
偏見や差別につながる表現をしないことは、当たり前と言ってしまえばそれまでです。
偏見、差別と聞くととても大げさなことに聞こえますが、日常にも偏見や差別はたくさん潜んでいます。男女の例としては、
- 「男性はリーダーシップを取ってガンガン職場で活躍すべき」
- 「女性は育児も家事も仕事も完璧にこなすべき」
- 「専業主婦は働かなくていいから楽」
- 「未婚の男性は重大な欠陥があるに違いない」
直接こう書かれているわけではなくても、このようなイメージを与える記事や広告を見るたびにとてもつらくなります。
反対に、男女間の決めつけや個人の「当たり前」を押し付けない表現をしている記事を見かけることも、少しではありますが増えつつあります。
今後企業から求められるwebライターを目指すのであれば、ジェンダーを意識した、人を傷つけない表現力を身に着けることが大切だと痛感させられます。
人のコンプレックスをバカにしない
コンプレックス広告、一時期とても流行りましたよね。
- 好きな人に体型を笑われた
- 彼女に体臭を理由にフラれた
- 彼氏にムダ毛の多さを指摘された
- あなたがモテないのは薄毛だから
このような、人の身体的な特徴を指摘してわざと不安を煽る広告です。
最近は減りましたが、たまに見かけると「まだそんなことやってるんだ……」と悲しい気持ちになります。
私も以前、バストアップアイテムのセールスライティングの依頼を受けたことがあります。
クライアントから「彼に胸の小ささをバカにされた女性をターゲットに書いてほしい」と指示されたのですが、私にはどうしても人の身体的特徴を揶揄する文章は書けませんでした。
そのことをクライアントに相談したところ、ありがたいことにこちらの提案を聞き入れてくださり、その後「自分のスタイルにもっと自信を持ちたい女性」へターゲットと変更していただきました。
結果的にはこの方が人を傷つけず、炎上する心配もなく、長く愛される商品作りへつながるお手伝いができたのではないかと思っています。
男女を入れ替えても成立する言葉?
「イクメン」「リケジョ」などの言葉を今でも当たり前のように使う人も多いです。
これらは言うまでもなく、
- 「イクメン」……育児をする男性
- 「リケジョ」……理系の女性
を指す言葉です。
例えば、「育児をする女性」「理系の男性」を、わざわざ特別な名称で呼ぶことはありませんよね。
このように、特別な名称を用いるときは男女を入れ替えても成立するかを考えてみてほしいのです。
- 「男の人なのに○○ができてすごいね」
- 「こんなことできる女性は他にいないよ」
といった言葉も一見誉め言葉のように聞こえますが、性別で珍しがったり特別扱いしたりすること自体がもう古いな、と個人的には強く感じます。
「これはどうかな?」と考えることが大切
あれもダメ、これもダメと言われると何も書けない!と思われたかもしれません。
人からダメだと言われたから、世間の目が厳しいから制限するといった考え方のままでは、確かに何も書けなくなってしまうでしょう。
大切なのは、「この表現はどうだろう?」と自分で考えることです。
- 自分の中で勝手に作り上げた常識を押し付けていないか
- 性別に関係なく活躍している人を傷つけてしまわないか
- もし自分が逆の立場でそのように言われたらどう思うか
一度、立ち止まって考えてみてほしいのです。
その結果誰かを傷つける表現をしてしまったとしても、あとから何が問題だったのか気づきやすくなりますし、失敗を活かしてより魅力的な文章が書けるようになりますよ。
日本はジェンダーの認識がまだまだ弱いと言われています。
今はみんなが手探りで最適な表現を探している過渡期だと感じることも多いので、ぜひこれを読んでいるあなたも、自分なりの表現を見つけてみてください。
「今はダメ」じゃなく「昔からダメ」だった
以前私がジェンダーについて発言したところ、知人に「最近はそういうの厳しいよね」と笑われたことがあります。
これもジェンダー表現の難しいところだなと思うのですが、「今はダメ」って、本当にそうでしょうか?
昔から、多くの男性、女性が、社会が勝手に作り上げた男性像、女性像に苦しめられてきました。
SNSの普及により多くの人が声を上げられるようになったことも、近年のジェンダーへの気づきの大きなきっかけだと感じます。
投稿を見た人も「嫌な気持ちになっていたのは自分だけじゃなかったんだ」と気づくきっかけになり、「昔からダメだったもの」が今ようやく認められるようになってきています。
「最近はこんなことも言えなくなっちゃって……」みたいなことを思うのであれば、上記で紹介したように「それがなぜダメなのか?」を自分で考えるチャンスです。
ただ世間や時代のせいにするのではなく、自分の発言が誰かを傷つけたかもしれない、それがいつか自分に返ってくるかもしれないことも、考えてみてください。
言葉を売るライターこそ意識したい、ジェンダーのこと
webライティングにはいろいろな依頼があります。
中には特定の性別、職業、コンプレックスを取り扱うものも多いです。
ターゲットに的確に商品やサービスの魅力を届けることはwebライターの重要な仕事ですが、そればかりに夢中になって誰かを傷つけたり、商品やサービス自体の価値を下げるようなことはあってはなりません。
「ジェンダー」と聞くと近寄りがたい、小難しい話に聞こえるかもしれませんが、少し自分で考えるだけでも見えてくる世界は違ってきます。
その結果、人を傷つけず、その上でターゲットに届く魅力的な文章を書くことにもつながります。
今後webライターとして長く活躍し続けるためにも、ジェンダーのことも意識の片隅においていただけると幸いです。
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私が特に好きなのが「両性のナメクジ」のエピソードです。人間も両性だったら、このようなジェンダーギャップは生まれていなかったのだろうと思わされました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!記事をシェアしていただけると嬉しいです。
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